私は専門的に勉強を始めたのがとても遅かったので、今振り返ってみると、初めは何から教えていいのかも分からないほどの生徒だったと思います。
そんな中、阿部先生は、ピアノを弾くために必要なすべてのことを一から教えてくださいました。
ピアノは「押せば音は出る」という特性上、どうしても音色にこだわる意識が希薄になってしまうと思います。
身体全体を合理的に使ってピアノを弾くことにより、技術的に楽に弾くことができ、かつ、表現の幅も広がる、ということを教えていただきました。
具体的にどんな音が良い音で、どんな音が良くない音かを、先生ご自身の演奏により示してくださり、そこから具体的に身体全体をどのように使えばそのような音を出すことができるのかを、とても細かく丁寧に、時には片手でゆっくり1音ずつ、「その音は良い、その音はだめ」といった風に指導してくださいました。
また、バロックから近現代に至るまで、それぞれの作曲家のスタイルにより、どう弾き分けるべきか、特に、私自身が初めて取り組む場合、その作曲家の他作品を解説しながら弾いてくださるなど、私がイメージを膨らませられるようレッスンをして下さいました。
最近では、ただ「楽譜に書かれているからその通りに弾く」のではなく、作曲家がなぜその音を書いたのか、なぜそのようなアーティキレーション、強弱を書き残しておきたかったのかという視点で曲にアプローチし、さらに、身体の使い方をどう変えれば、内面から適切な表現ができるようになるのかアドバイスをくださいます。
私自身、以前よりできることが増えているため、レッスンで指摘していただいことができると、まるで自分ではない別のピアニストが弾いているように感じることさえあります。
ここにはとても書ききれませんが、音楽以外の面においても、人間として成長できるように様々な助言や示唆をして下さり、とても感謝しております。



